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総理大臣を選ぶ総裁選に1票を投じる方法、党員の持つ1票の重み、1票の金額、投票の意義を調べてみました!

もくじ

内閣総理大臣=与党第一党の党首=自民党の総裁

まず基本的なところからですが、「内閣総理大臣」というのは1番議席を多く持った与党第一党の党首や代表、総裁が就く役職です。
この度、安倍首相が辞意を表明したので、与党第一党である自民党の新しい総裁選びが行われ、その総裁が次の総理大臣になります。

総理を選ぶ総裁選の投票券は誰にある?

「内閣総理大臣=自民党の総裁」となるので、総裁選の投票権は自民党関係者にしかありません。具体的には以下いずれかの属性が必要で、属性により1人の持つ票の割合が異なります。
※平成24年9月14日(金)に告示された、過去の自民党総裁選の情報を元にしています。

・自民党の所属議員であること
    1人1票あります。
    2020年9月1日現在、衆議院議員284名、
    参議院議員112名の計396名。
・自民党員・党友(とうゆう)であること
    計300票です。
    基礎票(各県3票の計141票)と
    配当票(159票を選挙人数に応じて配分)の
    合計が各都道府県に割り当てられます。
    2019年12月31日現在、党員・党友は108万6298名。

今回の安部首相の後任には、緊急措置ということで党員投票なしの両院議員総会方式での総裁選と決まりましたが、通常は党員投票があります。

党員1人の持ち票は? 1票の人数と金額、票の重さ

ここから計算をしてみたいと思います。

「自身が希望する人を総理大臣にしたい」と考えたときに、1人が入れた1票にはどのくらいの重さがあるのでしょう。
議員になるのは大きな志と時間、人、お金が必要だと考えますので、もう少し軽い気持ちで、個人の意思でなることのできる「党員」の立場で計算します。
「党員」と「党友」は違いますが、一旦、党友は割愛します。
(あり得ないですが)計算をし易くするため党員の人数が各都道府県で同じだという前提です。ちなみに、平成24年に行われた総裁選の都道府県ごとの配分票数はこちらに載っています。

では、ここで使用する数字は下の4つ。
 ①党員数 108,6298
 ②都道府県数 47
 ③基礎票 141(各都道府県ごとに3)
 ④配当票 159
 ⑤議員数 396

少数は切り捨てます。

都道府県毎の党員数は均等と想定なので、108,6298÷47=23,112人。
都道府県毎の配当表も均等と想定するので159÷47=3。基礎票と足して票数は6。
とすると各都道府県ごとに、党員23,112人に対し、6票。

少ない…!
1人あたりの持ち票は、6÷23,112=0.00029票です。

ではちょっと目線を変えてみましょう。
この票数では1人の意思は目に見える形で現れないので(実際、党員1人ごときの意見に結果が左右されたら大変なことですが)。

2020年9月1日現在で、自民党に入党すると党費が一般党員で年額4,000円必要です。ただし、自民党総裁選に投票するには、総裁選挙の前2年継続して党費を納めないといけないので、8,000円必要とします。

つい最近給付された特別定額給付金の10万円。
本来想定されている使用用途とは異なりますが、これを全部使ったとすると12.5人分の党費が賄えます。

物事の善し悪しは横に置いた上での想定です。
友人や親戚と連れ立って、党費は自身持ちということでその友人や親戚12.5人から票を買うと、0.003625票分。
2人分の給付金で25人分。0.00725票分。

・・・1票にはまだまだ遠いですね。

1票とするには、1÷0.00029=3449人必要です。2年分の党費は2,759万2千円です。
ここでやっと、ニュースで出てくる「●●氏は■票でした」の■に影響が与えられます。

東京都内でファミリーやリンクス向けのマンションを購入しようとすると、もちろん場所や条件によって金額は違いますが、6,000万円前後のチラシを多く見かけます。
マンション1室≒2票。
日本のトップを決めるのに、イメージしてたより安い。

金額的価値については仮定ばかりを並べたてました。
また目線を変えて。
今度は票の重さを考えてみます。

票の総数は141+159+396=696票。
党員が持つのは696分の0.00029票となる。
党員1人を1票とすると、約238万分の1票を持っていることになります。

例えば東京都の人口は、2020年6月現在で約1400万人です。
東京都知事選の票数約1400万に対し、総裁選の票数約238万。
都知事選に投票するよりも、総裁選の方が1票の価値が重いということになります。

政治は意外と近くにある

1票は党員3449人分。
党員を買収(実際にやるのはダメだと思います)するとしたら、1票は約2,760万円。
党員の持つ1票の価値は約238万分の1。

議員の持つ1人1票に比べたら党員の持つ票はとても小さいですが、
どこにでもいる庶民の私からすると、1票分の大きな人脈もさらっと出せる資金もないですが、
意外と声が届くんじゃないかと思える、数字と感じます。

総理大臣に投票するには8,000円が必要で、権利は0.00029票。
それでも、ニュースやワイドショーで政策について良い・悪いや批判をしているだけよりも、声を届ける手段となり得る。

テレビで見る政治はとても遠くで起きていることと感じていましたが、興味を持って近づけば、意外と近くにあるようです。
また、今回の総裁選で党員投票が行われないことが、党員の立場からはどれだけ大きな問題なのか。総裁選の方式について、ニュースで大きく取り上げられた理由が理解できました。

何かを不満に思うなら、動くべき。
思っていたより、ずいぶん近い。

にしても。
国民に選ばれた国会議員であっても投票ができない多くの議員がいる中で
選ばれたわけではない普通の人が東京都知事選よりも重い票を持つ
日本のトップを決める総裁選。

なんだか面白い、変なお話。